今回はあると1日が変わる。そういう「快適」と「便利」に効く小物を集めてみました。
百名山を登っていくと、買ったけど結局使わず不要な荷物が増えていきました。そして、使わない物は削られ、結局残った物は派手じゃないけど、山行の条件に合わせて今も使い続けているものだけが残りました。今回ここで紹介する物は、全部自分の手元にある実物で、いまだに使っているものばかりです。そして、よかった点も、微妙な点も含め紹介してみます。
この記事でわかること
- 日差しと暑さをやわらげる小物(日傘・アームカバー・サングラス・ネックゲイター)
- 水と行動食の持ち方(ハイドレーションとペットボトルの使い分け)
- 雨と防寒で効く小物(防水オーバーグローブ・ザックカバー)
- 荷物の出し入れがラクになるサコッシュ
- そして今回いちばん伝えたい「重さを数字で管理する」という習慣
先に結論:なくても登れる。でも「あると全然違う」
大事なことを先に。ここで挙げるものの多くは、無いと登れない必需品ではありません。あくまで「あると快適」「あるとラク」の話。ただし季節や天気によっては、安全装備に近い役割を持つものもあります。
だから優先順位でいうと、前回の記事(命に関わる小物)を揃えたあと。「もう一歩、山を快適にしたいな」と思ったら、この中から気になったものを足していくのがいいと思います。
全部いっぺんに買う必要はまったくないので、そこは気楽に。
日差しと暑さ対策
夏の稜線、日差しは思っている以上に体力を削ってくる。ここをケアできるかどうかで、午後の消耗がかなり変わってきます。
モンベルの折りたたみ日傘


効くのは、お昼を食べる時とか、日陰がまったくない場所。頭の上に日陰を作れるだけで、体感温度がぐっと下がる。
選んだ理由は、三段折りでコンパクトなこと。そして軽いこと。日傘なのでかさばると言えばかさばるんだけど、なるべく重くならないようにモンベルにしました。ザックの横に付けたり、ポケットに入れたりとサッと取り出せるようにしています。
ひとつ注意。さしながら登るのは、バランスを考えるとあまりおすすめしません。自信があるならアリだけど、周りにも気をつけて。
アームカバー(ユニクロ)

夏のUV対策に使っている。ユニクロの普通のやつ。
気に入っているのは、温度調整のしやすさ。樹林帯に入って、日差しより蒸し暑さが気になってきたら、生地を手首の方へずらすだけで熱を逃がせる。
長袖のTシャツだとこの調整ができない。脱ぐしかない。半袖にアームカバーだと、腕まくりみたいな感覚でこまめに体温を管理できるのが気に入っています。
SWANSのサングラス(メガネの上からかけられるタイプ)


メガネをかけている時、普通のサングラスだとつけるのに困ります。これは横にもカバーがあって、メガネの上からそのままかけられるやつ。
横にカバーがある分、横から差し込む太陽の光も入ってこない。だから眩しさがかなり減る。雪の照り返しがある冬場なんかは特にいいです。
昔はメガネに磁石で付けるサングラスも持っていたんだけど、強風の時にどこかに飛ばされた経験があって。それ以来、これに落ち着いています。
欠点らしい欠点はあまりありません。オーバーグラスなので多少は大きいけど、曇ったことはないし、あえて言えばプラスチック製なので、扱いは少しだけ丁寧に。
ネックゲイター(THE NORTH FACE・長短2枚を使い分け)

首まわりの布。これが地味に万能で、2枚を使い分けています。
短い方は、頭にかぶって上から帽子をのせる使い方。こうすると、汗が目に流れ込んでくるのを防げます。もちろん普通に首に巻くことも。なぜこれかというと、生地の薄さ。帽子を被るのでなるべく薄いものを選んでいます。
長い方は首専用。日焼け防止にも、朝晩の冷え込みにも効く。その日の天気と気温で、臨機応変に。
水と行動食の持ち方
意外と個人差が出るのが、水分と行動食。自分のやり方を紹介するので、参考程度にどうぞ。
ハイドレーション(プラティパス)とペットボトルの併用

給水はこの2本立て。歩きながら飲めるチューブ付きのハイドレーションと、普通のペットボトル。
ハイドレーションには水だけを入れています。ポカリとかを入れるとベタつくし、洗うのが大変で衛生的にもよくないから、中身は水と決めています。ポカリスエットやコーラみたいな水以外のものは、ペットボトルの方に。
ハイドレーションを使う理由は、まず歩きながら飲めること。いちいち立ち止まらなくていいと、水をこまめに摂れる。
もうひとつが重さのバランス。ペットボトルをザックの左右に入れると、飲むうちにどっちかに偏っていく。ハイドレーションは真ん中でスーッと減っていくので、ザックの左右バランスが崩れにくいのがいいです。
容器の容量は行動時間で使い分けています。自分の場合は、日帰りで2リットル、泊まりの縦走で3リットル。ただし実際に入れる水の量は、気温・行動時間・水場のあるなしで決めています。日帰りは、そもそも日帰り用のザックに2リットルしか入らない事情もあるけど。
欠点は、残量が分かりにくいこと。以前、残りを確認しないまま歩いて、想定より早く空になったことがあります。外から見えないので、一度ザックから少し出して覗き込まないと残量が読めない。ここだけはペットボトルに負けるとこですね。
あと、ペットボトルに直接つけるタイプのチューブもあります。私が使っているのは、SOURCE(ソース)の「コンバーチューブ」。飲み口の付いたチューブをペットボトルの口に取り付けるだけで、手持ちのペットボトルがそのままハイドレーションになります。

出番は正直なところ、ハイドレーション本体を洗うのが面倒なとき。2リットルのペットボトルにつなげてザックに入れれば、歩きながら飲めるのはそのままで、使ったあとの手入れはぐっとラクになります。アダプターが4種類付いているので、口径さえ合えばナルゲンのような水筒にもつなげられる。ペットボトル派の人が「歩きながら飲める」を試してみる入口としても、手頃な選択肢だと思います。
行動食は「出発前」「行動中」「泊まり」で分ける


行動食は、タイミングで役割を分けています。
- 出発前:アミノバイタルの顆粒タイプと芍薬甘草湯
- 行動中:アミノバイタルのゼリーと、カロリーメイトのゼリー
- 到着後:山頂や小屋に着いたら、アミノバイタルをもう一度 そして足をモミモミ
- 泊まりの水分:ポカリスエットの粉を持っていって、山で水に溶かしてペットボトルに
泊まりのときは、自分の場合、着いたあとに足をほぐしておくと翌朝が少しラクに感じる。
ブドウ糖の森永ラムネや、塩分タブレットも定番。あくまで自分が持っていくものの話なので、合う合わないは人それぞれ。各自の判断で。
雨と防寒で効く小物
天気は変わる。降られたときに手が使えるかどうかで、山行の快適さはずいぶん違う。
TEMRESの防水オーバーグローブ

雨や雪のとき、普段の手袋の上から重ねて使うオーバーグローブ。
防水性があるので、外からの水は入りにくい。雨のときに手が濡れて冷えるのを、かなり抑えてくれる。ただし汗をかくと内側が湿ることはあるし、防寒そのものは中に合わせる手袋しだいです。
欠点は、オーバーグローブなので細かい作業がしにくいこと。指先を細かく動かす場面では、いったん外して。そこだけ割り切って使っています。
ザックカバー(後ろで留めるタイプを選ぶ)


ザックが雨に濡れないためのカバー。柄は、可愛かったので、ナキウサギの絵を。そこは半分趣味の話ですが。
選ぶときのポイントは、後ろでカチッと留められるタイプを選ぶこと。留めがないと、強い風でカバーがバサバサとあおられてしまう。後ろで固定できると、それがかなり収まります。
もうひとつ。ザック本体に最初からレインカバーが付いているモデルもあります。付いていれば、まずはそれを使えばいいし。付いていないザックのときに、この「後ろ留め」を基準に選ぶといいと思います。
ついでに言うと、ザックカバーは完全防水ではない。背中側や隙間から水は入ってくるので、着替えや電子機器は、中で別のジップロック等の袋に入れています。
荷物の出し入れがラクになるサコッシュ


行動中によく使うものを、サッと出し入れするための小さいバッグ。PAAGO WORKSのものを。
中に入れているのは、行動食、モバイルバッテリー、それと財布みたいな貴重品類。ザックを下ろさなくても取り出せるのが便利です。
大小2サイズを使い分けています。小さい方は、腰ベルトにそのまま取り付けています。ザックによっては腰ベルトにポケットが付いていないものがあって、そういう時にちょうどいいです。大きい方は、腰に巻いて前に回し、行動中でも前でサッと取り出す使い方。
もうひとつ気に入っているのが、紐を取り外せること。100均のカラビナを使って別の場所に付けてみたり、アイデア次第で応用が利く。ここはこの製品の加点ポイント。
いろいろ試して、結局これに落ち着きました。ひとつ欠点を挙げるなら、雨が降ると中に水が少し染みてくることがあるくらい。
地味だけど一番効いた「重さを数字で管理する」
ここが今回、一番伝えたいところ。派手さはないけど、山の快適さと安全に、じわじわ効いてきた習慣。
なぜ重さを測るのか
いろいろな山を登って、他の人のザックの重さも聞いていくうちに、自分のザックは重いのではないかと思いました。そこで、必要な装備はちゃんと入れて、余計なものは削っていくようにしました。
理由はシンプル。重いとスピードが落ちる。スピードが落ちると、バテるのも早くなる。そうなるとさらに時間がかかる。時間がかかると遭難のリスクが上がる。この悪循環がこわい。だから重さの見直しは、快適のためというより、安全管理のためです。
それを感覚じゃなくて、数字で客観的に見たくて買ったのが、吊り下げ式のはかり。
吊りはかりでザックの総重量を測る

やることは単純で、荷物を入れてザックの総重量を測るだけ。ストラップにザックを引っかけて持ち上げれば、重さが出ます。ザックまるごとだけじゃなく、ザック本体やサコッシュみたいなギアを吊るせば、一つずつの重さも量れます。それをメモっていけば、何が重いのかが見えてきて、削る場所も分かってきます。(グラム単位で細かく量りたい小物は、家のキッチンスケールではかるのもあり)
体重計に自分ごと乗って引き算しても測れるけど、サッと吊るして量れる専用のはかりがあると便利。
測り続けていくと、面白い感覚が生まれてきます。「自分ならこの重さまでは普通に登れる」「これ以上になると、スピードが落ちるな」というのがなんとなく分かってきます。参考までに、自分が目安にしている重さがこれ。どちらも水を抜いた状態、つまり装備と食料だけの重さです。
| 山行 | 水を抜いた重さの目安 |
|---|---|
| 日帰り | 7kg くらいに収める |
| 泊まりの縦走 | 10kg 以内を目標 |
なぜ水抜きの数字かというと、行動時間によって水の量は変わるし、途中で給水できる場合でも、給水できない場合と比べて水の量は変わってきます。なので、先に水なしで測っておいて、あとは持っていく水の量を足して考える。水は1リットルでだいたい1キロ。日帰りで2リットル持つなら、総重量はおよそ9kgに。
この水抜きの重さを覚えておくと自分の中の上限や、登るスピードの予定も見えてきます。だから登る前になるべく測っておくのがおすすめです。
ガス缶は使うたびに量って残量を記録

違う意味でガス缶も重さで管理しています。写真の缶、油性ペンで数字を書いてます。
やり方は、使ったあとに毎回量って書くだけ。まず買った最初に満タンの重さを測っておきます。次に使うたびに測って書いておきます。写真の缶は満タンで約386g。そこから使うたびに数字が減っていくのが、記録として残っています。これを続けていくとまず1回の山行で日帰りなら、1泊ならどれくらい減るかが見えてきます。
そして、「買ったときの缶の重さ − 今の缶の重さ」で、使った量がわかります。
意外と知られていませんが、ガス缶の「110」や「250」という数字は、中に入っているガスの重さ(グラム)のことです。だからこそ、買った最初に満タンの重さを測っておくわけです。今の重さと比べれば、使った量と残りの見当がつきます。測り忘れても、メーカーのサイトに満タン重量が載っているので、そこから逆算もできます。
使う量と残量がわかっていれば、「まだいける」「そろそろ買い替えかな」の見当がつき、安心感が違います。逆に、買った最初に測っておかないと、残りの見当がつかなくなる。最初のひと手間が大事です。
一応、念のため持っているもの
「便利」とは少し違うけど、お守りとして持っているものも書いておく。
ダニ除去のリムーバー

ダニに食いつかれたときに取るための道具。……なんだけど、実はまだ使ったことはない。念のために持っているだけ。
それでも軽いし場所も取らないので、山域によっては入れておくと安心です。
よくある質問
Q. 全部揃えないとダメ?
まったくそんなことはないです。ここは「あると快適」の話なので、気になったものから1つずつでOK。まず前回の「最初に買ってよかった小物」の方を優先してほしいです。
Q. 一番おすすめはどれ?
迷ったら、吊りはかり。安いのに、荷物と体力の関係が「数字」で見えるようになるのは、思っている以上に効果が大きいです。
Q. ハイドレーションとペットボトル、どっち?
両方でいいと思う。水はハイドレーション、味付きの飲み物はペットボトル、という分け方が自分には合っています。ペットボトルをハイドレーションみたいに使う場合もあります。

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