日本二百名山、奥秩父の名峰・乾徳山(けんとくさん・標高2,031m)。
山梨県甲州市に位置し、森林帯から草原、そして岩峰へと変化する個性的な山容が特徴。別名を持たずとも「奥秩父の鎖場といえば乾徳山」と登山者の間で語り継がれる一座。
王道は徳和から乾徳山をピストンするルートだが、今回は道満山を組み合わせた8の字周回(10.9km、累積標高1,267m、行動時間6時間13分)に挑んだ。
GW真っ只中の4月29日、予想外に空いていた駐車場から鎖場の核心・鳳岩まで、百名山完登者の本音でレポートする。
この記事でわかること
- 乾徳山・道満山の8の字周回ルートのリアルな所要時間
- 核心部の鳳岩(鎖場)の難易度と登り方のコツ
- GWの徳和駐車場の混雑状況
- 月見岩・胎内岩など奇岩スポットの楽しみ方
- 百名山完登者から見た、鎖場攻略の心得
登山データ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 山名 | 乾徳山(けんとくさん・2,031m) |
| ルート | 徳和駐車場 → 小屋沢ノ頭 → 乾徳山 → 高原ヒュッテ → 道満山 → 徳和峠(8の字周回) |
| 日程 | 2024年4月29日(月・祝)日帰り |
| 行動時間 | 6時間13分(休憩含む) |
| 距離 | 10.9km |
| 累積標高 | 登り1,267m / 下り1,267m |
| コース定数 | 29(きつい) |

乾徳山を選んだ理由
奥秩父エリアの二百名山として、乾徳山は以前からリストの上位にあった。
決め手は「変化の多さ」。登山口から山頂まで、樹林帯・草原・岩場と三つの顔を持つ山はそう多くない。特に終盤の岩峰帯は写真で見るたびに気になっていた。それと鳳岩。垂直に見えるという触れ込みの一枚岩の鎖場が、行く前から頭に引っかかっていた。
GWということで「混雑しているかも」と覚悟していたが、実際に徳和に着くと駐車場はまだ余裕あり。拍子抜けするくらいスムーズに出発できた。
今回は8の字周回を選択。道満山を含めることでコースに変化が出るし、同じ道を戻る単調さも回避できる。ルートとしては少し冒険的な選択だが、これが正解だった。

ルート詳細(時系列レポート)
徳和駐車場 〜 登山口(8:53〜9:17)
8時53分、徳和駐車場を出発。
まずは舗装された道を歩いて登山口へ向かう。しばらく集落の中を進んでいく感じで、山に入る前の肩ならしにちょうどいい。

15分ほどで本格的な登山口に到着。「ここから登っていきます」という明確なスタート地点。

登山口を入るとすぐに樹林帯へ。杉と広葉樹が混じる森の中を、徐々に高度を上げていく。

樹林帯の急登(9:17〜10:54)
この区間、実は結構キツい。
「最初は森林浴」なんて書いたけど、実際は急勾配の連続。特に9時台から10時台にかけては、ひたすら登りが続く。足への負担は予想より大きかった。

10時24分、沢を渡る箇所に。水が冷たくて気持ちいい。

10時36分、分岐点に差し掛かる。4つ角になっていて、今回のルートは「まずは真っ直ぐ登って、左から出てきて、右に向かう」構成。8の字周回ならではの面白さがここに凝縮されている。

草原帯〜月見岩(10:54〜11:12)
樹林帯を抜けると、雰囲気が一変する。
さっきまでと打って変わって、草原のような開けた場所に出た。空が広い。足元も変わって、歩きやすい。

11時1分、月見岩に到着。大きな岩が草原の中にどっしり構えている。ここで少し休憩。

この辺りから富士山が見えてくる。4月末の空気が澄んでいて、遠くにくっきりと。

さらに進むと手洗い岩など奇岩が増えてくる。乾徳山はこういう名前のついた岩が多く、歩きながらひとつひとつ確認していくのが楽しい。

岩峰帯〜核心部(11:21〜12:07)
11時21分。ここから景色がガラッと変わる。岩ゾーン突入。

鎖場が連続して出てくる。最初の鎖はウォーミングアップ的な感じ。

そして胎内岩。岩の割れ目をくぐり抜けるような地形で、雨宿りにちょうどよさそうな場所。

鎖場区間の難易度レポート
乾徳山の核心部は、複数の鎖場が連続するこのゾーン。難易度と攻略のポイントをまとめる。
メタボ岩(11:38)

岩の隙間を体を横向きにして通る場所。体の大きい人は少し工夫が必要。ここは技術よりも柔軟性の問題。通り抜けたときに思わず笑ってしまった。
「親父」岩(11:45)

何かの岩にそういう名前がついている。見た目で名前を付けたくなる面白い形の岩が続く。
山頂直下・鳳岩(12:01)
いよいよ核心部。

鳳岩。垂直に見えるけど垂直じゃない、という表現が一番正確だと思う。でも下から見上げると、確かに垂直にしか見えない。

ここだけ体感で重力が1.5倍。登山靴の爪先を岩の割れ目に差し込みながら、鎖を使って体を引き上げる。手と足の連携が大事。
攻略のポイントを整理すると:
| 鎖場 | 難易度 | コツ |
|---|---|---|
| 鳳岩(核心) | 中〜上 | 足の割れ目への差し込み。鎖は補助的に使う |
| その他の鎖場 | 初〜中 | 鎖に頼りすぎず三点支持で |
| 右側の迂回路 | 易 | 鎖が苦手な人・子連れはこちら推奨 |
鳳岩の右側には迂回路あり。無理する必要はない。鎖場が初めての人、荷物が重い人はそちらを使ったほうが賢明。
岩の上から下を見ると、こんな感じ。高度感はそれなり。

百名山完登者が感じた鎖場の位置づけ
乾徳山の鎖場は、剱岳の早月尾根や奥穂高岳のジャンダルムと比べれば当然ずっとやさしい。でも「気軽にちょっと鎖場が楽しめる」とも言い切れない。特に鳳岩は初見だと戸惑う人が出そう。
初めて鎖場を経験するのに向いている山ではあるが、滑りやすい靴・重すぎるザックで来ると苦労する。それだけは押さえておいてほしい。
山頂からの眺望
12時7分、乾徳山山頂(2,031m)到着。

山頂はそれほど広くないが、展望は申し分ない。4月末のクリアな空気の中、富士山がバッチリ見えた。

山梨の山から眺める富士山はいつ見ても格別。標高2,000m超から見るこの角度と大きさは、低山からの富士山とは別物。しばらくぼんやりと眺めていた。
高原ヒュッテ〜道満山〜下山(12:34〜15:07)
12時34分、名残を惜しみながら山頂を後にした。

山頂から北側へ下りていく。このルートは傾斜がきつく、一気に高度を落とす感じ。

13時15分あたりで少し危ないところが。トラロープが張ってあるが、上側のロープを使った方が歩きやすい。下は滑りそう。

13時37分、平坦な場所に出ると高原ヒュッテはすぐそこ。

13時38分、高原ヒュッテに到着。

中を見てみると、意外にきれい。緊急避難時にはありがたい存在。

小屋の周辺では鹿に遭遇。警戒されながらもしばらく見ていられた。

14時6分、道満山へ向かう途中で車道に出た。しばらく車道を歩き、看板で右折して再び登山道へ。

道中でもう一頭の鹿と遭遇。この山域、鹿が多い。

14時29分、道満山(1,314m)通過。14時57分、徳和峠に出た。

落ち葉で少し滑りやすい箇所もあったが、問題なく通過。

14時57分、徳和峠の登山口に戻った。

あとはゲートを通って舗装路を下り、15時7分に駐車場に帰還。

アクセス・駐車場情報
徳和駐車場(メインの起点)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 駐車場 | 徳和駐車場(乾徳山登山口近く) |
| 料金 | 有料(協力金方式が多い) |
| 台数 | 数十台規模 |
| 混雑 | GW中でも8時53分時点で空きあり(2024年実績) |
| トイレ | 駐車場近くにあり |
GWだからといって深夜入りまでする必要はなかった。ただし土日の9〜10時以降は埋まる可能性が高い。8〜9時台を目安に到着できれば安心。
車でのアクセス
中央自動車道「勝沼IC」または「甲府昭和IC」から国道411号などを経由して徳和集落へ。ICから1時間前後。ナビで「徳和駐車場」か「乾徳山登山口バス停」を目標に設定すると迷いにくい。
公共交通
JR中央本線「山梨市駅」から塩山駅経由でバスが出ている。ただし本数が少ないので事前に時刻確認必須。
装備と注意点
| 装備 | ポイント |
|---|---|
| 登山靴 | 鎖場があるのでソールのしっかりしたもの。スニーカーは不可 |
| グローブ | 鎖場で手が痛くなりやすい。軍手でも可だが薄手のグローブが使いやすい |
| ヘルメット | 岩場の落石リスクがあるので着用を推奨 |
| 飲料水 | 山頂付近に水場なし。最低1.5L以上を携行 |
| 登山保険 | 鎖場のある山なのでしっかり備えておきたい |
GW(4月末〜5月頭)でも標高2,000mは朝晩冷える。4月29日でも日中は快適だったが、天候次第では防寒着が必要になる。
独断と偏見:乾徳山の「三つの顔」評価
乾徳山の面白さは、コースで三段階に変化する地形にある。それぞれの「顔」を独断と偏見で評価してみた。
| ゾーン | 内容 | 面白さ(5段階) |
|---|---|---|
| 樹林帯(登山口〜草原) | 急勾配の登り。景色は少ない | ★★★(体力ゲー) |
| 草原〜月見岩 | 開放的。富士山も見える | ★★★★★(一番好きなゾーン) |
| 岩峰帯〜鳳岩 | 鎖場連続。緊張感あり | ★★★★★(乾徳山の真骨頂) |
三つのゾーンそれぞれに違う面白さがある。単純な「急登をこなしてピークを踏む」ではなく、途中で何度も「あ、変わった」と感じる山。これが乾徳山の最大の魅力だと思う。
よくある質問(乾徳山 Q&A)
Q. 乾徳山の鎖場はどれくらい難しい?
核心部の鳳岩は、初見では圧迫感がある。垂直に見える岩に鎖だけで取り付く感じは「初めての鎖場」としては刺激が強め。ただし鎖はしっかりしていて、落ち着いて三点支持で登れば問題なし。岩場経験がない場合は右の迂回路を使えば安全に山頂に立てる。
Q. 鎖場が怖い場合は迂回できる?
鳳岩の右側には明確な迂回路がある。看板も出ているので迷わない。子ども連れ、荷物が重い場合、鎖場に不安がある場合は躊躇なく使っていい。
Q. GWの混雑はどれくらい?
2024年4月29日(月・祝)の実績だと、8時53分の徳和駐車場は空きあり。山頂付近では登山者と何度もすれ違う程度の混雑で、渋滞にはならなかった。ただし午前10時以降に到着すると駐車場が満車になる可能性があるので早出を推奨。
Q. 日帰りで登れる?
十分に日帰り可能。今回の8の字周回でも行動時間6時間13分。余裕を見て8〜9時台に出発すれば、15〜16時には下山できる。ただし乾徳山は急登が多く、コース定数29は「きつい」判定。体力的にはそれなりに準備が必要。
Q. 乾徳山の見どころは?
草原帯の月見岩と富士山の眺め、鳳岩の鎖場、高原ヒュッテ周辺の鹿との遭遇。コースの変化が多く、飽きない山。奇岩に名前がついているので、それを探しながら歩くのも面白い。
まとめ|乾徳山に挑む人へ
乾徳山は、山の面白さをコンパクトに詰め込んだような山だった。
樹林帯の修行ゾーンを超えると草原と富士山の展望が待っていて、さらに進むと岩峰帯で鎖場が続く。ひとつの山でここまで表情が変わるのはなかなかない。
鳳岩は「覚悟」があれば登れる。怖ければ迂回すればいい。どちらを選んでも山頂には立てる。そこは正直で親切な設計。
GWに行くなら徳和に8時前後で着けば駐車場は問題なし。道満山を組み合わせた周回は、単純なピストンより変化があっておすすめ。
では、またどこかのお山で👋
登山をもっと安全に楽しむために
- 登山届:山梨県警のオンライン登山届(コンパス)で提出可能
- 登山保険:鎖場のある山に行くなら必ず備えておきたい。年間数千円で遭難時の捜索費用もカバーされるものがある
- ガイドツアー:鎖場が心配な場合はガイド付きツアーも選択肢。乾徳山を含むツアーが複数催行されている


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