日本二百名山、埼玉県西部・奥武蔵の武甲山(ぶこうざん・標高1,304m)。
秩父盆地からどこを見ても目に入る石灰岩の山で、長年にわたる採石によって山の南面が削られ、独特の台形シルエットになった秩父の象徴。
王道は一ノ鳥居から表参道をピストンする日帰りだが、今回は横瀬駅からタクシーで一ノ鳥居に入り、山頂を越えて浦山口駅へ抜ける縦走コース(13.0km、累積標高868m)。
登山グループに合流しての賑やかな一日。百名山完登者の本音でコースの実態を書き残しておく。
この記事でわかること
- 武甲山の採石場が作り出した唯一無二の山容と秩父での存在感
- 一ノ鳥居(表参道)から山頂、浦山口まで縦走したときのコースの実態
- 横瀬駅・浦山口駅を使った公共交通アクセスの具体的な手順
- 12月の武甲山で感じた冬枯れの静けさと登山道の様子
- グループ登山ならではの楽しさと、駐車場満車問題の実情
登山データ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 山名 | 武甲山(ぶこうざん・1,304m) |
| ルート | 一ノ鳥居(表参道)〜山頂〜浦山口縦走 |
| 日程 | 2021年12月4日(土)日帰り |
| 行動時間 | 5時間37分 |
| 距離 | 13.0km |
| 累積標高 | 登り868m / 下り1,136m |
| 出発地 | 横瀬駅 → タクシーで一ノ鳥居 |
| 下山地 | 浦山口駅 |

武甲山を選んだ理由(秩父の象徴)
当初は別の山を考えていた。行き先が2転3転した末に「武甲山でどう?」という話になり、登山グループとの合流が決まった。
武甲山は秩父のどこからでも見える山。ただ、正面から見るとその姿が他の山と明らかに違う。南面の石灰岩が採石で削り取られ、山の形そのものが変わってしまった。自然の山らしくない輪郭。でもそれが武甲山の個性であり、秩父の人たちにとっての「なじみの山」でもある。
一度は歩いておきたかった山だった。
コース詳細|時間帯ごとのレポート
横瀬駅 → 一ノ鳥居(08:40着)
横瀬駅に降り立ったのは8時12分ごろ。

駅からタクシーで一ノ鳥居の駐車場へ向かった。到着してみると、駐車場はすでに満車。溢れた車が道路の端に並んでいた。週末の武甲山、人気があるのは知っていたが、これほどとは。公共交通で来て正解だったかもしれない。
一ノ鳥居をくぐって登山スタート。ここが表参道の起点。
一ノ鳥居 → 大杉の広場(09:57着)
登山道に入ると、ひたすら山道を登る区間が続く。


杉林のなかをじわじわ上がっていく。12月の冬枯れで空気が澄んでいて、歩きやすい。

杉が本当に多い。グループの誰かが「春に来たらものすごい花粉だろうな」と言って笑いが起きた。確かに12月で正解かもしれない。大杉の広場は9時57分着。まだ身体は温まっている段階。
大杉の広場 → 武甲山頂(10:36着)
広場を過ぎると斜度が上がる。木の根を踏みながら高度を稼ぐ。
山頂直下に差し掛かる手前、登山道の脇に「水は大切に」と書かれた標識があった。

この手書きっぽいメッセージ、悪くない。山の中でこういうのを見ると少しほっとする。
10時36分、武甲山頂(1,304m)に到着。

「サクッと着いた」と言いたくなる感じ。実際、表参道は整備されていて歩きやすい。往路のコースタイム約1時間半、休憩込みで2時間弱。
山頂の眺望

山頂に出ると視界が開ける。奥に見えるのは谷川岳方面か。雪をかぶった稜線がうっすら白い。
武甲山御嶽神社が山頂にある。神聖な雰囲気と採石場の現実が同居している、不思議な山頂。
しばらく展望を楽しんでいると、グループの誰かが笛を吹き始めた。山頂に笛の音が響く。なかなか良い。普通は誰かと来ても静かに休憩するだけだが、こういう賑やかさも登山の楽しみだと再確認した。
下山(浦山口ルート〜横瀬方面へ)
下りは山頂から浦山口駅方面へ縦走。

下山中、道が分かれる分岐のような場面で少し迷った。「ん?」という感じ。地図で確認して正しい道を確認。特に問題はなかった。

稜線から両神山が見えた。「あれが両神山らしい」とグループの誰かが教えてくれた。遠くに見える岩稜の独特なシルエット。いつか行こうと思っている山のひとつ。

浦山口へ向かう下山ルートは、少し狭い山道が続く。表参道より静かで、木々のあいだを縫って下りていく感じ。

12時58分、無事に下山完了。
下山後、浦山口駅まで
下山後は浦山口の集落を歩いて駅を目指す。

振り返ると武甲山が見える。採石で削られた南面が正面に見えるのはこちら側から。独特の山容を改めて確認した。「あの山、登ったんだな」という満足感。

集落の道を歩いて浦山口駅へ。

14時18分、横瀬駅に到着。縦走コースを無事に完歩。
採石場が作り出した武甲山の独自性
武甲山を語るとき、採石場の話は避けて通れない。
石灰岩は古くからセメントの原料として採掘されてきた。採石によって山頂は本来よりも低くなり、南斜面は大きく削られた。かつての標高は1,336mだったとも言われている。山の形が人の手で変わってしまった山、日本では珍しい存在。
だからこそ、秩父盆地から見た武甲山は他の山と全然ちがう。ゴツっとした台形で、削られた白い岩肌が遠くからでも目立つ。「あの山は何?」と誰もが一度は思う姿。
登山者としては複雑な気持ちもある。でも地域の産業と山が長年共存してきた現実があって、御嶽神社は今も山頂に鎮座している。武甲山はそういう山。
アクセス・駐車場情報
車の場合
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 最寄りIC | 圏央道・狭山日高ICから約40分 または 関越道・花園ICから約45分 |
| 駐車場 | 一ノ鳥居駐車場(無料)約40台 |
| 注意 | 週末は早朝から満車になる。道路脇への路駐が発生することも |
今回は週末の土曜で、到着時点(8時台)でもう満車状態。駐車場を利用するなら7時前には着いていたい。
公共交通の場合
| 区間 | 手段 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 池袋 → 横瀬駅 | 西武秩父線(特急ラビュー等) | 約75〜90分 |
| 横瀬駅 → 一ノ鳥居 | タクシー | 約10分・1,000円前後 |
| 浦山口駅 → 西武秩父駅 | 秩父鉄道 | 約20分 |
縦走コースなら横瀬駅スタート → 浦山口駅ゴールが自然な流れ。公共交通を使えばタクシー代だけで済む。週末の混雑を考えると電車で来るのが合理的な選択かもしれない。
12月に登るときの装備
| 装備 | ポイント |
|---|---|
| 防寒着 | 山頂は風が冷たい。フリース+ウィンドブレーカーは必須 |
| 手袋 | 冬用が安心。ストックを使うなら特に |
| 登山靴 | 12月は霜や凍結が出る。ソールのしっかりしたもの |
| ヘッドランプ | 日没が早いので念のため携行 |
12月の武甲山は凍結箇所がある場合も。表参道は整備されているが、下山ルートは細い箇所もある。アイゼンが必要かどうかは当日の気温次第。
想定QAコーナー
Q. 武甲山の難易度は?
表参道ピストンなら初中級レベル。整備されていて歩きやすく、標高差も大きくない。縦走コース(一ノ鳥居〜浦山口)は距離が増えるが技術的な難所は少ない。体力よりも「距離を歩く覚悟」が必要な山。
Q. 武甲山の登山適期はいつ?
4月下旬〜5月の芝桜シーズン、紅葉の10〜11月が人気。ただし週末は混雑する。12月〜2月の冬季は凍結・積雪の可能性があり、アイゼン・チェーンスパイクを持参したほうが安心。夏は暑いうえに杉花粉シーズンを外れているので意外と歩きやすい。
Q. 一ノ鳥居の駐車場が満車の場合は?
周辺の道路脇に停まる車も多いが、駐車可能な場所は限られる。公共交通(西武秩父線・横瀬駅 → タクシー)の利用が現実的。週末に車で行くなら6時台には着いておきたい。
Q. 縦走ルートの下山後、浦山口駅からどうすれば?
浦山口駅から秩父鉄道で西武秩父駅へ。西武秩父駅からは特急・急行で池袋方面へ戻れる。下山後に秩父の温泉(西武秩父駅前温泉「祭の湯」等)に寄る人も多い。
Q. 山頂の眺望は?
晴れていれば谷川岳方面・両神山・奥多摩の山々が見渡せる。採石場によって西側の眺望は一部遮られるが、北〜東の展望は開けている。12月の冬晴れは空気が澄んでいて遠くまで見えた。
秩父の山を歩くなら
武甲山だけではなく、奥武蔵には歩きやすい山が多い。武甲山を起点に、周辺の山と繋げる縦走も選択肢。
登山保険については、入山前に加入しておくのをおすすめする。年間数千円で遭難時の捜索費用もカバーされるプランがある。週末の武甲山でも毎年のように事故の情報はある。山に入る以上、備えておいて損はない。
では、またどこかのお山で👋


コメント